ゆとりと美しさに満ちた、暮らしやすい東北
東北には、変化に富んだ美しい自然、縄文時代以来の人と自然が共生してきた生活文化、固有の歴史文化があります。東北が自らの持つ魅力や価値を再発見し、誇りと自信を持つことは、東北のアイデンティティを確立し、東北人としての一体感を醸成することにつながります。
東北のアイデンティティを積極的に情報発信することにより、さまざまな人が交流し連携する地域を目指して、農山漁村と都市との交流と連携、東北への家族ターンの促進、グリーンツーリズムの推進等を図り、東北の魅力をさらに高めることが重要です。また、高度都市機能の整備とネットワーク、中心市街地の魅力再生、環境調和型デザインによる都市景観の形成等により、暮らしやすい都市環境の整備が必要です。
少子高齢化に対応して、子どもを安心して育てられる社会、高齢者が安心して生き生きと暮らせる社会が求められています。東北は、三世代同居率が高く、暮らしの安心を支える基盤が保たれてきましたが、今後は、多様な子育てニーズへの対応、医療・介護・福祉の充実、高齢者の社会参加の拡大、さらに男女共同参画社会の形成が重要です。
21世紀は、環境と共生する社会を目指すべきであり、豊かな自然に恵まれ自然と共生する文化が息づく東北は、そのモデル地域となることが期待されています。環境共生は、官民一体となって取り組むことがふさわしいテーマであり、省資源・省エネ・資源リサイクルを通じて、ゼロエミッション社会を目指すことが重要です。
本構想では、将来の情勢変化に対する弾力的な対応と、アクションプランの実効ある推進を図るため、当会に新たな設置する総合政策委員会のもとで、毎年アクションプランの達成状況を評価するとともに、3年毎に活動内容を見直します。
新たな技術や産業を生み出す、力強い東北
東北の産業は、付加価値生産性が低く、内外の競争に弱い構造となっており、内発的で自律型の足腰の強い経済構造を構築することが必要です。
それは、中央の下請けから自律型企業への転換、支店・工場から本社機能への転換です。タテ系列からの自立を考え、地域ニーズや世界市場、地域の産学官の連携へと目を向け、ヨコの連携を広げることが重要です。さらに、地域間の連携による総合力の高い広域ネットワーク形成が競争力を高めます。
また、東北の新たな産業の方向性として、高度情報化に対応した情報技術(IT)を駆使しながら、農林水産業の再生、製造基盤と情報技術が融合したサードウェア産業や地域に密着したコミュニティ・ビジネス産業の充実、広域観光の確立などの視点が重要です。
リスクを取って新規事業の挑戦していく気概を持つことも重要です。こうした中で、新たなチャレンジを地域全体で支援する風土を醸成し、新しい技術や産業が次々と生まれてくる力強い経済構造を目指していきます。東北インテリジェント・コスモス構想や東北ベンチャーランド運動など、七県の広域連携により、より実効性の高い産学官連携、新技術・新産業創出活動に今度とも取り組んでいきます。
左/ベンチャービジネスの育成に向けた取り組み(支援会議)
右/東北ベンチャーランド推進センター総会
人・もの・情報・文化が活発に交流し、世界に発信する東北
グローバル時代においては、世界の東北、アジアの東北という視点が重要です。地球全体がボーダーレスとなる21世紀においては、東北自ら情報を積極的に発信し、世界と直接のネットワークを形成することが必要であり、世界に発信する東北づくりが求められます。
東北の対岸に面した北東アジアは、多様な資源が存在する開発可能性の高い地域であり、北東アジア経済圏の形成は21世紀の重要な課題です。北東アジア交流では、経済分野をはじめ、学術文化や環境エネルギー、農業技術など多様な分野での国際協力・国際貢献を通じて、交互理解と信頼関係を強化することが重要です。
東北域内の湾口や空港の利用促進により、経済交流や人的交流の拡大を図ることが必要であり、国際物流拠点の整備とともに、東北で開催される国際スポーツイベント等を契機として、東北の国際交流の活発化を推進します。
国際観光については、東北は海外おける知名度が低く、外国人環境客も少ない現状にあります。このため、外国人環境客の誘客に向けて、東北に関する積極的な情報発信や、観光案内コールセンターなど観光インフラの整備とともに、国際観光プロモーション活動の推進に、東北七県の官民が一体となって取り組みます。
左/国際見本市での先端技術の情報発信(イメージ図) 右/国際会議の開催(イメージ図)