【16:00修正】東経連の2023年アジア圏向け農水産物輸出実績について -香港、マレーシア、台湾に向けて計7産品を輸出-
一般社団法人東北経済連合会(会長:増子次郎 以下、東経連)では、2019年から東北・新潟の農水産物・食品の輸出拡大に取り組んでおり、今年で4年目となりました。
2023年のアジア圏向け輸出の概要や今後の取り組みの方向性を取りまとめましたので、お知らせいたします。
1.輸出実績(時系列別)
2023年2月~ 山形県産啓翁桜(香港向け)※新規
7月~ 山形県産メロン(香港向け)※継続
新潟県産メロン(香港向け)※新規
青森県産キャベツ(香港向け)※新規
岩手県産キャベツ(香港向け)※新規
宮城県産仙台牛(台湾向け)※新規
9月 宮城県産魚肉ソーセージ(マレーシア向け)※継続
10月 岩手県産米(香港向け)※新規 (マレーシア→香港に修正いたしました)
11月~ 宮城県産サツマイモ(香港向け)※継続
2.新たな取り組み
■山形県の「啓翁桜」、宮城県の「仙台牛」、岩手県の「江刺米」の3品目を輸出に繋げることが出来ました。
また、輸出先に初めて台湾が加わり、計3ヶ国となりました。
■需要がありながらも十分な対応が出来ていなかった香港向け「赤肉メロン」について、これまでの山形県産
に加え、今年初めて新潟県産メロンの輸出が実現できたことで、供給力確保が図られました。なお、新潟県
産品の輸出は、東経連として初めての実績です。
■集荷力と検品作業に課題があり需要に応えられなかった「キャベツ」について、卸売事業者である八戸中央
青果(株)がこの問題を解決し、青森・岩手両県産のキャベツを初めて輸出することが出来ました。
■九州農水産物直販(株)(以下、九直)のプライベートブランド(以下、PB)として日本産米を輸出したいと
相談があり、大手卸売事業者である木徳神糧(株)の協力で岩手江刺農業協同組合を紹介頂き、初めて東北
・新潟県産米の輸出が実現しました。
■地域インフラの活用と物流の2024年問題を踏まえ、宮城県産サツマイモの輸出に際して、京浜地区港湾まで
の輸送をこれまでのトラックから仙台塩釜港からの船便に切り替えました。
3.品目別の概要・今後の方向性
(1)啓翁桜 山形県【2月~3月】
【概要】
・香港のスーパーから「ピンクをコンセプトにした売り場を作りたい」という要望があり、東経連が九直と
JA全農山形を結び付けることにより、今年初めて実現しました。計5回の輸出を行い大好評を博しました。
【今後の方向性】
・メロン同様、定番商品となるよう継続取引を目指します。
(2)メロン 山形県【7月】
【概要】
・2019年に東経連が九直と山形県国際経済振興機構、およびJA全農山形との商談を仲介したことにより、
香港への輸出が実現しました。これが東経連の輸出事業の最初のプロジェクトとなりました。
・その後も取引が継続され、「夏のメロンは山形」としてブランド化・定番商品になっています。九州産
メロンの旬が6月で終わることから、夏に旬を迎える東北産が商品をつなぐ、いわゆるリレー出荷が実現
しました。
【今後の方向性】
・安定した継続取引につながっており、この状況の維持とともに、香港で特に人気のある赤肉メロンの生産
者を更に発掘し、供給力確保を図ります。
(3)メロン 新潟県 【7月】
【概要】
・山形県産メロンと同様、九州で旬が終わった夏場に香港で人気のある赤肉メロンを出荷できる生産者を
探していたところ、新潟商工会議所等の協力により新潟市の(株)眞田農園を紹介頂き、東経連が同社と
九直を繋げることにより、新潟県産メロンの香港への輸出が今年初めて実現しました。
【今後の方向性】
・今年のトライアル輸出は、香港のスーパー店頭への陳列後、即完売と成功したことから、来年の本格輸出
に向けてサポートを行い、供給力確保に繋げていく考えです。
(4)キャベツ 青森県 岩手県【7月~10月】
【概要】
・キャベツの輸出は、香港で大きな需要があるものの、東北においては集荷力と検品作業(害虫駆除等)に
課題があり、大きな展開につながらない状況にありました。
・今年に入り、農林中央金庫仙台支店より、集荷力と検品体制が整っている八戸中央青果(株)の紹介を
受け、東経連が同社と九直を繋げることにより、安定したキャベツの輸出を実現することができました。
【今後の方向性】
・八戸中央青果との連携を強化することにより、輸出拡大を目指します。
・八戸中央青果は、多くの集荷量が見込めるキャベツ輸出の北東北の拠点になり得ることから、今後は八戸
港から京浜地区港湾への船便利用による輸出も検討します。
(5) 仙台牛 宮城県【7月~】
【概要】
・従来、和牛の輸出では、生産者側が「一頭買い」(一頭分の精肉)を希望するのに対し、販売側は「部位
買い」(特定部位の精肉)を求めるというミスマッチや、生産者側の供給安定性等が課題としてありまし
た。
・東経連が日本ハム(株)とJA全農みやぎを結び付けることにより、食肉業界大手の日本ハムがその高い
販売力を活かして「一頭買い」を確約するとともに、全農みやぎを通して肥育農家からの供給量を確保
することにより、初めて和牛の台湾への輸出が実現しました。
【今後の方向性】
・初回の7月から3か月間輸出されましたが、その後の売れ行きも良く、10月以降12月までさらに3か月の
輸出が確定しています。今後も安定した供給量の確保、および取引の継続・拡大に向けサポートして参り
ます。
(6)魚肉ソーセージ 宮城県【9月】
【概要】
・九直より「ハラル対応商品をイスラム教徒が多いマレーシアに輸出したい」との要望があり、(株)三井
住友銀行の協力を得て、宮城県気仙沼市の(株)阿部長商店およびグループ企業の(株)大興商事を九直
に仲介し輸出が実現しました。
・2021年の初回輸出から評判がよく、3年連続の継続輸出につながっています。
【今後の方向性】
・安定的な取引につながっている特長ある商材の一つであることから、今後もサポートして参ります。
(7)米 岩手県【10月~】
【概要】
・九直より「日本米を九直のPB商品として輸出したい」と東経連に相談があり、各県の協力を得て生産者
情報の収集を行いました。
・しかし、九直が①真空パック包装商品を求めていたこと、②PB商品化にあたって大量の輸出米が必要な
こと、の2つの課題があり、各県から紹介のあった生産者からの輸出は実現しませんでした。
・その後、米の大手卸売事業者である木徳神糧(株)の協力により、2つの課題への対応が可能な岩手江刺
農業協同組合を紹介頂き、10月から九直のPBとして香港への輸出が始まりました。東経連が取り組む
輸出事業で初めて米の輸出が実現しました。
【今後の方向性】
・今後の取引継続・拡大に期待するとともに、他県産米の輸出実現に向け、今後も関係箇所との情報交換を
続けて参ります。
(8)サツマイモ 宮城県【11月~】
【概要】
・東日本大震災の津波の被災地を開墾した農地(約120ha)でサツマイモ等の栽培を行う宮城県山元町の
(株)やまもとファームみらい野(以下、やもとファーム)では、サツマイモの販路が確立されておら
ず、年々栽培面積を減らしてきた経緯がありました。
・東経連が2020年に実施した商談会で、やまもとファームに九直を紹介することにより、2021年2月に
香港へのサツマイモのトライアル輸出が実現しました。その結果、香港のスーパーで「甘くておいしい」
と大好評を博し、年々輸出量が拡大しています。
・2023年からは、仙台塩釜港からの輸出を開始しています。これは、従来のトラック輸送を船便利用に
切り替えたもので、全体工程の見直しによってリードタイムの短縮(13日以上から約8日間へ)が図られ
たことから、地元港湾の利用が可能になりました。
【今後の方向性】
・香港などアジアで人気のサツマイモの輸出拡大に向けて、やまもとファームとの連携を強化するととも
に、同ファームとの輸出事業で得た収穫・保管・搬送等の知見を活かし、新たな生産者の発掘等に取り
組みます。
・地域インフラの活用と物流の2024年問題を念頭に、他地域での今後の輸出事業における地元港湾等の
活用を指向していきます。
当会では、引き続き関係機関との連携により、魅力ある東北・新潟産品の輸出拡大を支援し、当会のビジョン「わきたつ東北」実現の加速化につなげてまいります。
詳細は、添付のプレス資料よりご覧ください。
【添付】:プレス資料
以 上
【本件担当】(一社)東北経済連合会
食・観光グループ 櫻庭 電話:022-397-6528