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  3. 「令和6年度下期会員企業アンケート調査結果」について- 景況感・企業業績において全体としてプラス基調であるが、企業規模により顕著な差- -ほとんどの企業で賃上げ実施も、中堅・中小企業の約半数で防衛的賃上げ-

 一般社団法人東北経済連合会(以下、「東経連」)では、この度、会員企業719社を対象に会員企業対象
アンケート調査を実施しました。
 調査の結果、景況感、企業業績において全体としてプラスの傾向となりました。企業規模別にみると、資本金10億円超の企業では景況感、企業業績ともに二桁のプラスとなる一方で、資本金10億円以下では、令和6年度下期売上高を除きマイナスとなるなど、企業規模により顕著な差がうかがえる結果となりました。
 令和6年度の賃上げにおいては、資本金10億円以下の企業の約半数で余力はないが賃上げを行うと回答しており、防衛的賃上げの様相がうかがえます。物価上昇分、人件費上昇分を価格転嫁できているか否かについては、転嫁できている資本金10億円超の企業と転嫁できていない10億円以下とで相反する結果となっています。
 一方、人口減少問題の受け止め方については、7割の企業が人口減少にとても不安を感じていると回答しており、人口減少社会の到来を深刻に受け止めている状況が確認されました。
 調査結果の概要は以下のとおりです。

 1.景気動向・経営概況
  ○ 景況感BSIは、全体では令和6年度上期実績・令和6年度下期見通しともにプラスとなった。
    資本金規模別にみると、資本金10億円超では令和6年度上期・下期いずれも大幅なプラスとなったが、
    資本金10億円以下では令和6年度上期、下期ともにマイナスとなっている。

  ○ 経営状況をみると、令和6年度上期並びに下期の売上高BSI・経常利益BSIはいずれもプラスとなり
    「増収増益」の結果となっている。資本金規模別では、資本金10億円超の企業が令和6年度上期実績
    ・下期見通しともに二桁のプラスと好調を維持しているのに対し、資本金10億円以下では令和6年度
    上期実績は減収減益、下期見通しは増収に転じるものの経常利益BSIは依然としてマイナスとなって
    おり、企業規模間の差異が浮き彫りになった。

  ○ 今年度、約半数の企業が東北・新潟で設備投資計画を有しており、その予定投資額は、「前年度並」
    が最も多い。投資目的は2/3の企業が「維持・補修」をあげており、以下「デジタル化・DX」
    「合理化・省力化」「能力増強」の順となっている。

  ○ 企業経営上で特に関心の高い事項については、約半数が「人材確保」を挙げており、以下「生産性の
    向上」、「販売シェアの拡大」「人材育成」の順となっている。特に、資本金10億円以下では57.5%
    が「人材確保」を挙げており、人手不足への対応が課題となっていることが明らかとなった。

 2.トピックス調査
  (1)賃上げと価格転嫁
  ○ 9割以上の企業が今年度、賃上げを実施、もしくは予定している。ただし、5%以上の賃上げを実施
    (予定)しているのは資本金10億円超の34.7%、資本金10億円以下では18.8%となり、企業規模に
    より相違がみられる結果となった。

  ○ 3%以上の賃上げを行わない理由については、「人件費の上昇分を価格転嫁できないため」「今後の
    事業見通しに不安があるため」「原材料価格の上昇分を価格転嫁できていないため」の順となって
    いる。資本金10億円以下の企業では10億円超に比して「今後の事業見通しに不安があるため」の
    回答割合が高い。

  ○ 賃上げ実施判断と賃上げ原資の関係については、資本金10億円超の8割が「賃上げ余力がある」と
    回答したのに対し、資本金10億円以下では「賃上げを行う余力はないが、賃上げを行う」との回答
    が約半数となっており、防衛的賃上げの実施がうかがえる。

  ○ 価格転嫁の状況に関しては、資本金10億円超の企業で「物価上昇分・人件費上昇分とも概ね価格
    転嫁できている」とする回答が最も多かったのに対し、資本金10億円以下では「物価上昇分・人件
    費上昇分とも価格転嫁できていない」が最も多かった。

 (2)人材確保の現状と課題
  ○ 現在の人材確保状況について聞いたところ、「十分に確保できている」とした企業は6.0%に留まっ
    た。さらに、3割の企業で「事業に支障が生じている」「事業継続が困難」といった回答となって
    いる。

  ○ 人手不足への対策については、資本金10億円超では「デジタル化・DX等による省力化」、「女性の
    活躍機会、採用の拡大等」、資本金10億円以下では「高齢者雇用・定年延長」や「デジタル化・DX
    等による省力化」などが挙げられている。

  ○ 社員の副業・兼業については、4割の企業でこれを認めている。逆に副業・兼業を認めない理由として
    は、「勤務時間、健康管理の困難さ」「規定上認めていない」「本業への悪影響」「情報管理上の
    問題」などを挙げる企業が多かった。

 (3)人口減少問題への認識
  ○ 人口減少問題に対する受け止め方を聞いたところ、7割の企業が「人口が減少していくことにとても
    不安を感じている」と回答しており、逆に「特に不安を感じていない」と回答した企業はごく少数
    であった。

  ○ 人口減少がもたらす影響については、企業の規模に関わらず「人口減少に伴う採用の困難化」、
    「人口減少に伴う市場の縮小」、「従業員の高齢化による技術継承」が問題と認識。

 (4)新政権への期待
  ○ 新政権に期待する政策を聞いたところ、企業の規模にかかわらず「物価対策」、「人手不足対応」が
    上位の回答となった。以下、資本金10億円超では「少子化・子育て支援」「地方創生・首都圏一極
    集中是正」「環境・エネルギー(脱炭素、CN、GX)」となり、資本金10億円以下では、「中小企業
    支援」「個人消費の拡大」「地方創生・首都圏一極集中是正」「賃上対策」の順となっている。

詳細は、添付のプレス資料よりご覧ください。
 【添付①】:プレス資料
 【添付②】:令和6年度下期会員企業アンケート調査結果

【ご照会先】
 一般社団法人東北経済連合会 経済政策グループ 市川 TEL:022-397-6418

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